2009年5月29日金曜日

h21.5.29 自尊心を育てることが、自主性と社会性を生む


 本年度の飾磨工業高等学校 全日制と多部制共通の、本年度の重点目標を次のようにしました。
「生徒の自尊心を育て、活動意欲を高め、自主性と社会性が身につく学校をつくる」

 自信をつけさせて、自尊心が育てば、活動意欲がます。すると自主的になります。自主的になって行動委すれば、周りの協力が必要となります。社会性がなければ協力は得られません。
 従って、現在を生きる私たちの、本校の生徒たちへのキーワードは、「自尊心」、「自尊感情」、「セルフ・エスティーム」だと、考えています。

 具体的に、次のように教育活動を展開しようと考えています。

 私たち教員の間での合い言葉を 「ややかほご」 にしました。生徒への指導と支援を、このようにチェックします。

  ってみせているか
  らせてみているか
  んがえさせているか
  めてやっているか
  うかくさせるまで工夫をし続けているか

 生徒たちの合い言葉を 「あやとり」 にしました。
 機会あるごとに、生徒に呼びかけて、自己チェックをしてもらおうと考えています。

  いさつしよう 自分から
  りとげよう 失敗しても最後まで
  とのえよう 身だしなみ(乱しなみにするな)
 んじんの 気持ちを大切に
                                 (2009.5.29)
写真  事務室 受付の花







2009年5月28日木曜日

h21.5.28 「自信」ということについて


 神戸新聞に、「ずっと家族がほしかった」という特集記事があります。児童相談所編が、坂口絋実記者によって書かれています。
 児童相談所の職員の仕事の重要さと過酷さ、そして家庭というものの惨状が、実によくわかる興味深い特集で、毎回楽しみにしています。
 5月28日(木)の特集は、「学習-生きる自信をつけるため 小さなことでもマル」と題したものです。
 この記事の要旨のまとめが、「自信」というものについて述べることになります。以下、読んでみてください。
 児童相談所に、一時保護所があるそうです。ここでは、保護され外出を禁じられている子どもたちに対して、午前と午後合わせて3時間の学習時間を設けています。学習指導員、児童相談員、保育士が勉強を教えています。
 今春保護された中学校1年生の男子のことが書いてあります。記者に算数を教えてくれといってきたことをきっかけにして、記事が書かれています。
 この子が幼い頃に両親が離婚しました。精神的に不安定な母から虐待を受けたことがあります。寝込むことの多かった母と、仕事で帰りの遅い継父と暮らすようになっていました。小学校2年生の時に妹が生まれて、妹の世話を見るうちに、学校に通えない日が増え、勉強についていけなりました。彼は自分に自信を持てず、何をしても長続きしない。「どうせ無理」が口癖になっていました。
 児童相談所の学習の時間では、彼は中学1年生なのに、小学校クラスで、三桁の引き算問題をやっていました。教えてやり、正解した答えに丸をつけてやると、笑顔とVサインを返してくるかわいいところのある子です。
 この子は1ヶ月で九九を習得しました。この頃、児童相談所は、この子を児童養護施設へ入所させることを決めていました。一時保護所を出る前日、学習指導員は九九を書いた単語帳を彼に贈りました。彼は「これ施設に持っていってええ?」と言いました。とても気に入ったようです。記者は、この単語帳が彼のこれからの人生の支えになるだろうと書いています。
 記事は最後に、児童相談所の職員の思いは次のようなことだと締めくくっています。

 「ここではどんな小さなことでもマルをあげるんです。生きる自信をつけるために」 
(2009.5.28)
写真  校長室の花      

2009年5月21日木曜日

h21.5.21 平成21年度入学式式辞(H21.4.8)


兵庫県立飾磨工業高等学校 平成21年度入学式 式辞


 咲き誇った桜に心も浮き立ち、木々の芽が、日を追うごとに、芽吹く緑に心を和ませている、今日の良き日に、本校同窓会長吉川賢三様、全日制PTA会長東成吉様、多部制PTA会長田口喜英様をはじめとするご来賓と、入学生の保護者の皆様の御臨席のもと、飾磨工業高等学校平成21年度入学式を挙行できますことは、私たち教職員と在校生にとりまして、大変大きな喜びです。
 先ほど入学を許可しました全日制200名、多部制194名の新入生の皆さん、入学おめでとう。皆さんの入学を心から歓迎します。また、保護者の皆様には、手塩にかけて育ててこられたお子様の、本校への入学を、心からお祝い申し上げます。
 入学生の皆さんは、9年間の義務教育を終えて、飾磨工業高等学校で学ぶことを選んで入学してくれました。小学校、中学校での義務教育は、6歳から15歳までを対象とし、その年限をすぎれば自動的に卒業ということになりますが、高等学校は義務教育の対象から外れるため、進級も卒業も、自分の努力次第ということになります。これからは、自分で計画的に成果をあげていくことが求められます。
 皆さんは、現在の日本の社会では、就職をしないあるいは就職ができない若者が増えているということを聞いたことがあると思います。その人たちに、何に苦手意識があるのかという調査の結果を聞いたことがあります。人と話すのが苦手という人が60%、計算が苦手という人が43%、字を書くのが苦手という人が36%、人の話を聞くのが苦手という人が35%、というのです。どうでしょう。人ごとではないのではないですか。
 本校の卒業生の進路は、就職が約7割ですから、本校が最後の学校となる卒業生が多いのです。本校の学校生活において皆さんが実行することは苦手意識を克服することと、自分の得意分野を伸ばすことです。皆さんは、何をしなければならないか。例をあげてみましょう。
 人と交流をする機会を意識して作ってほしい。学校行事ではクラスメイトとともに積極的に取り組んでほしい。部活動にはぜひ取り組み部員との友情を深めてほしい。顧問の先生や先輩との人間関係を学んでほしい。話をしている人の顔をしっかり見て、しっかり聞いてほしい。自分からあいさつができる人になってほしい。正しい言葉遣いができるようになってほしい。授業を大切にして一般教養の習得、資格取得、検定合格のためにしっかりした学習をしてほしい。ものづくりコンテストには積極的に挑戦してほしい。
 どうでしょうか。これらの基本的なことを確実にできるようになることが社会に出るためには大切だということを覚えておいてほしいのです。本校の教育方針は、このような基礎的な能力を、鍛え上げることを重視しています。
 「継続は力なり」といいます。努力を継続することによって、目標が達成できるのです。しかし、たとえ目標を達成することができなかったとしても、「ひたむきにそして誠実に人生を生きる態度」が身に付くのです。これは私たちにとって最大の宝なのです。
保護者の皆様、本日から、大切なお子様をお預かりいたします。現在100年に一度という世界的な不況にあります。その中で私たちがやらなければならないことは、日本人が世界に誇ることのできる、品質の高い精密なものづくりを可能にする技術力と人間性を、もう一度磨き直すことだと考えます。ものづくりを通した人づくりが求められているのです。
 従って、時として、厳しく指導することがあるかと思いますが、お子様がこれからの時代に生き抜いていくために、ご理解とご協力をお願い申し上げます。学校と家庭が、お互いに連携をし、お子様の成長のために大切な時を共有したいと申し上げ、入学式の式辞といたします。
      平成21年4月8日
             兵庫県立飾磨工業高等学校長  田中 哲也
  
写真 正門入ったところにある兵庫県立飾磨商業学校の記念碑

h21.5.21 「鹿間津を通ふ雄鹿の夢~飾磨工高校長室便り~」を開設しました

「昔、印南野に住む鹿が和歌などで「夢野の鹿」と詠まれていた。その夢野で仁徳天皇が狩りをされた時、雌雄の鹿が逃げのび、二ケ所に別れて住みつき、雄鹿が住みついた所を男鹿島、雌鹿が住みついて所を妻鹿といい、海中の州を行き来したという。飾磨はこの男鹿島と妻鹿の間にあたることから「鹿間津(しかまつ)」といわれるようになった。」(「播磨鑑」より)

「鹿間津を通ふ雄鹿の夢は遙かに」
県立飾磨商業学校と県立飾磨工業高等学校の創立70周年記念誌から)


 私は、鹿間津に通う雄鹿としての夢を、このページ「鹿間津を通ふ雄鹿の夢~飾磨工高校長室便り~」で語っていきたいと思います。

 飾磨工業高等学校長として着任しました、田中と申します。
 私は、1年3ヶ月前まで、平成18年4月1日から平成19年12月31日までの間、飾磨工高全日制の教頭をしていました。
 その後の1年3ヶ月は、平成21年1月から3月末日まで龍野北高等学校の教頭として、新しい学校の最終的な開校準備を、平成20年度は、県立龍野実業高等学校長として、県立龍野北高等学校に統合する仕事と、たつの市龍野町北龍野の龍野実業高校旧校舎を閉舎する仕事をやりました。
 実は、平成15年度に多部制の設置の年度に、3部の教諭としても仕事をしていました。
 このように多部制、全日制ともに勤務の経験のある私が、また御縁があって飾磨工業高等学校で仕事をさせていただくことになりました。
 微力ながら精一杯務めますので、何とぞよろしくお願いします。(2009.5.21)

 写真は、本校正門入った所にある昭和60年設置の同窓会モニュメント「雄飛」です。