2009年7月17日金曜日

h21..17 「ややかほご」と「あやとり」を合い言葉に

「ややかほご」と「あやとり」を合い言葉に

<飾磨工高 PTA会報でのあいさつ文>

ニート62万人(2006年厚労省)、若年フリーター417万人(2001年内閣府)、187万人(厚労省2007年)、引きこもり300万人以上、若年ネットカフェ難民5400人となっています。ニート、フリーター等、職業的自立ができない20代、30代のうち、57%が学校不適応者、55%がいじめ経験者(2007年厚労省)だそうです。若年就労不安定者の意識を見ると、人と話すのが苦手60%、計算が苦手43%、字を書くのが苦手36%、人の話を聞くのが苦手35%という調査結果もあります。
 最近、孤立傾向のある人による凶悪犯罪が起きていますが、若い男性の孤立した生活を送っている単独犯というのが共通点です。彼らは高等教育を受けるようになるまでに挫折した経験の持ち主が多く、そのために不本意な就職をしたり定職に就けなかった者が多い。犯罪心理学者の作田明氏は次のように分析しています。
彼らは幼少期に両親から甘やかされて育った結果、脆弱な性格で、小さなストレスでも克服が難しく挫折しやすい。そのために、他者とのコミュニケーションを避けようとするが、同時に焦燥感が強まる。しだいに惨めな自分の状況を他人のせいだと考えるようになり、自分以外の人間への攻撃に発展する。やがて自殺する代わりに他人を殺害する間接自殺を実行する。そういう事例が多くなっている。その背景には、核家族化が進み家庭が孤立化し教育力が低下する。また親族や地域社会のサポート力も弱くなり、事態をさらに深刻化する。現代の学校や家庭の状況がひ弱で対人能力が欠如した若者を増やしている。教育力の乏しい家庭で甘やかされて育った子どもは、必要な躾も受けずに、いきなり社会に投げ出されて大きなストレスを受ける。現在の日本は一度失敗すると再チャレンジする機会が少ないので、復活することが難しい。
企業が体育部所属の生徒を欲しがるのは、ひ弱で対人能力の欠如した若者では役に立たないからでしょう。なぜ、活動意欲が低く、志を持たないのか。なぜ、人間関係が築けないのか。なぜ、自己肯定感を持てないのか。なぜ、精神的、社会的自立が遅れるのか。なぜ、将来に希望を持って進路を選ぼうとしないのか。なぜ、勤労観、職業観が育たないのか。なぜ、考えるために必要な基礎的な知識を量的にも、質的にも身につけようとしないのか。その理由は、第一に、「私」の論理を重視しすぎて、「公」の論理を考えない教育思想で教育がなされている。第二に、子どもの自主性を重んじるあまり、やっておかなければならないことをやらせていない。第三に、幼児の頃から集団で遊び、幼児同士で喧嘩をし、幼児同士でルールづくりをしながら仲良く遊ぶ体験が乏しい。三つ目に、従って対人能力が乏しく、集団の中でやっていくには、自分に自信が持てず、行動できない状況に悶々としている。
 そこで本校は、本年度の重点目標に、「生徒の自尊心を育て、活動意欲を高め、自主性と社会性が身につく学校をつくる」を掲げて教育活動に取り組んでいます。
教師間では「ややかほご」(注1)を合い言葉に、生徒とは「あやとり」(注2)を合い言葉にやっていきます。保護者の皆様、生徒たちが社会で自立して生きていくことができるようになるために、ご家庭と連携をとりながら育てて行きたいと考えています。本校の教育活動に御理解と御協力をお願いします。

(注1)「ってみせているか、らせてみせているか、んがえさせているか、めてやっているか、うかくさせるまで工夫し続けているか」

(注2)「いさつしよう自分から、り遂げよう最後まで、とのえよう身だしなみ、ん人の気持ちを大切に」