2010年7月23日金曜日

H22.7.23 飾工キャリア教育プログラムの整備




飾工キャリア教育プログラムの整備




校長  田中 哲也


 昨年度アメリカの住宅バブルの崩壊によるリーマンショックに始まる世界的な不況の影響で、求人状況が悪くなり、昨年度の卒業生のご家庭は大変だったと思います。進路指導部と卒業年次団を中心に学校も奔走して、ほとんどの生徒が何とか進路を決めることができました。ところが今度はギリシャの国家財政赤字が発覚し、ユーロ圏各国がギリシャ国債を保有していることから、また世界的な不況になっている状況です。本校では、生徒の希望する進路の実現のために、短期的にも長期的にも具体的な対策を講じようと、飾工キャリア教育整備委員会を設置し、「飾工キャリア教育プログラム」を整備しようと考えています。飾磨工業高校で整備するべきキャリア教育のコンセプトのポイントを、①「自尊心・志」、②「行動力」、③「技能・技術」、④「知力・知識」、⑤「貢献」としました。これらの言葉の英語の頭文字を取って「S・E・T・I・C PLAN」(セティックプラン)としました。本年度の卒業生のために、すでに先行的に実施している年次・学科・教科・部・委員会が多くあります。具体的な対策を実行しながら整備に向けて作業を進めている状況です。ところでキャリア教育とは何でしょう。実は従来の進路指導もキャリア教育も目指すところは同じです。進路指導は生徒に将来どう生きていくべきかを考えさせながら人間形成をさせる教育活動です。そうであるのになぜ、キャリア教育を唱える必要が出てきたかというと、進路指導が卒業時の進路決定に限定され過ぎていることへの反省があることは確かですが、それよりも社会の少子高齢化、地域家庭の教育力の低下、終身雇用から流動的な雇用への変化等により、青少年の勤労観・職業観が変化してきたことが大きいのです。これらのことから今の若者は、精神的社会的に自立が遅れ、人間関係がうまく築けず、自分で意思決定ができず、自己肯定感が持てず、将来に希望が持てず、進路を選ぼうとしない傾向が目立っています。このような社会的な状況下で、家庭生活、職業生活、市民生活等における生徒自身の様々な立場や役割(これがキャリアです)を考えさせていくことが急務になってきたというわけです。飾工キャリア教育のコンセプトに戻ります。コンセプトの要素である「自尊心・志」は、人としての規範を身につけ、人間関係を大切にしながら、自分に自信をもち、自分を成長させる意志を持つことです。「行動力」は、仲間との行動、議論、交渉、調整等を通じて、困難を克服しながら共に行動し、課題を解決することです。「技能・技術」は、自分の生き方在り方を見据え、基本的な技能・技術(工業技能、部活動、計算、表現(読む、書く))を身につけることです。「知力・知識」は、一般常識、工業技術・技能の基礎知識をしっかり定着させ、論理的・戦術的に考える力を身につけることです。「貢献」は、クラス・学校全体や地域社会へ貢献する活動を通して、自分の生き方在り方を考えることです。本年度は好運にも(?)、本校のPTAが兵庫県立高等学校PTA連合会のPTCA活動支援事業の実施校になりました。1年間かけて活動をして、11月26日の三木市で行われる兵庫県大会で発表をすることになりました。活動テーマは「家庭、企業、地域、学校の連携によるキャリア教育の展開」です。これは本校にとって願ってもないテーマです。目的は、①家庭、地域、企業、関係諸機関、学校が連携したキャリア教育を展開する、②保護者が参加し、学校教育活動への理解を深め、親と子で子どもの進路を考える環境づくりを支援する、です。保護者の皆様には、学校で実施しているキャリア教育関連行事や生徒の教育活動に実際に参加していただきながら、お子様のキャリアについて学校と一緒に考えていこうというのが、本年度の飾工PTAの活動になります。保護者の方には一人でも多く、学校へ、インターンシップ先へ、生徒が地域貢献している先へと足を運んでいただきまして、私たち教職員と一緒に飾工のキャリア教育活動を展開していただきますよう、よろしくお願いします。

2010年4月9日金曜日

h22.4.8  平成22年度入学式を行いました。本年度もよろしくお願いします。

平成22年度県立飾磨工業高等学校 入学式 式辞

 この飾磨の地にも、春がやってきました。本日、御来賓の皆様と、新入生の保護者の皆様の祝福をいただき、兵庫県立飾磨工業高等学校平成22年度入学式を挙行できますことに、心から感謝申し上げます。
 ただいま入学を許可しました全日制課程200名、多部制課程195名、合計395名の新入生の皆さん、入学おめでとう。本校への入学を心から歓迎します。保護者の皆様には心よりお喜びを申し上げます。
 飾磨工業高校の今回の入学試験の志願者倍率は、全日制、多部制ともに、県下でも非常に高いものでした。その難関を突破した新入生とその保護者の皆様の、合格者発表の日に喜んでいらっしゃる姿は、私たち職員の脳裏に焼き付いています。しかしその反面、うつむいて静かに帰っていった受験生と保護者の姿を思い浮かべる時、合格を勝ち取った皆さんには、不合格になった人の分まで本校でしっかりと学んでほしいと、強く思います。
「自分探し」という言葉があります。「自分探し」という言葉は、自分の中に確かな自分が存在するという前提の上に成り立つ言葉です。「確かな自分は存在する。しかしそれは非常に見つけにくいものである。」と考えておきます。
卒業後の進路を決める時に、「自分を探し当ててからでないと就職しない。あるいは就職する自信がない。」と考えるとすると、自分の仕事を見つけるのはいつになるのでしょうか。ニートとかフリーターの増加が社会問題になっている理由の一つが「自分探し」という言葉への誤解にあると考えています。
わたしは、「自分というものは、自分が行動を起こした時に初めて、表面に現れ、私たちが認識できるものである」と考えています。逆に言えば、「行動を起こさない場合には、確かな自分を探し当てることはできない」ということになるのです。
ですから、新入生の皆さんには、飾磨工業高校の学校生活の中で、自分から行動を起こしてほしいと言いたいのです。皆さんのその行動の中にこそ、確かな自分が存在するのです。行動を起こす前に、どちらがいい選択なのだろうかと悩むのではなく、その時に一番いい選択をしておいて、自分の行動の中で、自分のその選択を自分にとって正しいものにする努力をすることで、自分探しができるのだと言いたいのです。
さて、本校は工業高校です。現在、日本もまだ不況の中にいますが、私たちの日本を元気にするには、ものづくりの現場を元気にする必要があります。工業高校である飾磨工業高校の存在意義はここにあります。日本人の長所である忍耐強さ、協調性、誠実さ、親切さ、器用さ、こだわる性癖を大事にしていくことが、日本を元気にすることになると思います。私たちは皆さんにこれらのことを学んでほしいのです。
ところで、日本には、技術力やシェアで世界最高レベルにある、小さいけれども世界一の企業がかなり多くあることを知っているでしょうか。実はそれらはほとんどが中小企業なのです。サッカーワールドカップ大会で、審判が使用する笛は日本製です。それは80年近い伝統の技の産物だと聞きます。スペースシャトルの重要な部分を溶接しているのは、東京の小さな溶接会社です。スペースシャトルの燃料タンクを軽量化したのは、福井県にある中小企業である工作機械メーカーです。世界の工作機械の3分の1は、日本製です。世界の産業用ロボットの7割が日本製です。世界の金型のシェア世界一は日本です。歯車製造で世界一の技術を誇るメーカーは日本に多くあります。その歯車の精度を測定する機器の製造で世界のシェアの3割強を占める精密機械メーカーは日本にあります。その他、精度1000分の1ミリという常識破りのネジを製造している中小企業は東大阪市にあります。レジャー用魚群探知機で世界的メーカーになった中小企業。小型ベアリングで世界的最高水準の技術を持つ中小企業等々。あげれば切りがありません。
日本のものづくりを世界一にしている要因は3つあります。第一に精度と美しさに粘り強くこだわること、第二に規律を守りチームワークよくものをつくること、第三にお客様の要求、苦情に対して親切に誠実に対応することです。日本のものづくりを担うであろう皆さんは、この3つの能力を、授業、学校行事、部活動、地域貢献活動等の、本校のあらゆる教育活動の中で学んでもらわなければなりません。
皆さんには、夢を描いてほしい。そしてその夢を実現するために、具体的な目標を立ててほしい。大きな目標は、小さな目標に分割して、実行に移して、一つ一つ実現していってほしい。未来は望むだけでは自分のものにはならない。目標は、実行に移さなければ目標ではない。夢のままに過ぎないのです。
 最後になりましたが、御来賓の皆様には、御多用にも関わりませず、御臨席賜り、入学式に華を添えていただきましたことに、心よりお礼を申し上げまして、式辞といたします。  

  平成22年4月8日   兵庫県立飾磨工業高等学校長   田中 哲也

2010年3月1日月曜日

h22.2.25 本年度348名の卒業生が旅立ちました


      式 辞
 この飾磨の地に、春の気配が日ごとに感じられ、私たちの心に、希望という思いが生まれ始めている 今日の良き日に、御来賓の皆様と、保護者の皆様の祝福をいただき、兵庫県立飾磨工業高等学校平成21年度卒業証書授与式が、挙行できますことに、心から感謝申し上げます。
 ただいま卒業証書を授与しました全日制課程190名、多部制課程158名、合計348名の卒業生の皆さん、卒業おめでとう。そして、お子様を育て、支えてこられた保護者の皆様には、心よりお喜びを申し上げます。
 我が子が成長して自分の力で独り立ちしていく姿は、何よりも嬉しく、しかし 少し寂しいものです。本当の喜びとは、このような「うれし、さびし」の感情を言うのだろうと思います。
「銀(しろかね)も 金(くがね)も 玉(たま)も 何せむに まされる宝 子に しかめやも」
山上憶良の歌です。
「銀も金も、宝石さえ見劣りがする。子ども以上の宝なんて、ありはしない」という意味の歌です。
卒業生の皆さん、高校生活はどうでしたか。就職する人にとっては、飾磨工業高校が最後の学校になります。母校というものは、年を取れば取るほど懐かしいものになります。本校で、全力でやりきったと言える人、悔いが残る人、いろいろいると思います。これからの人生がどうなるのか、誰にもわかりませんが、皆さんができることは、どんな結果になろうとも、今できることを、精一杯、誠実にやりきることが大切です。卒業した後の方が、学ぶことは多いでしょう。社会人として、お客様や先輩や 同僚との人間関係の中で、社会的な責任の中で、自分の力で人の信頼を勝ち取り、自分で生計を立てていくことの重みを、ひしひしと感じていくことでしょう。これまで、親からあるいは社会からどれだけ 守られていたのか、身にしみて感じていくことだろうと思います。これまでに本校で学んだことを基礎にして、辛抱するところは辛抱をして、着実に実績を積み上げていってほしいと思います。
 さて、アメリカの不況に始まった世界的な不況から、景気はいま、少しずつ上向きになっています。企業も国民もその中で、創意、工夫を重ねて、この難局を乗り切ろうとしています。日本の企業は300万社以上あるといわれます。中小企業白書によると、その99%は従業員が300人以下の中小企業で、日本の雇用の88%を占めているといいます。日本の中小企業には、技術力やシェアで世界最高レベルにある小さな世界一の企業がかなり多くあります。それらの企業に共通していることが3つあります。一つ目は「こだわり」、二つ目は「小回り」、三つ目は「徹底したお客様重視」です。
私たちの日本を 元気にするには、ものづくり現場を 元気にすることが必要だと思いますが、大切なことは、まず第一に、精度と美しさにこだわること、第二に、製品開発、営業、サービスにおいて小回りをきかすこと、第三に、お客様の要求、苦情などに対して、「かゆいところに手が届くサービス」を徹底して展開していくことです。日本人の長所である器用さ、こだわり、誠実さ、親切さを、強化することが、日本を元気にすることになると思います。そして、ここのところに、日本の工業高校の存在意義があります。本校もこのことに貢献していきたいと考えています。兵庫県立飾磨工業高等学校の卒業生である皆さんが、日本の産業の世界的な発展のために、活躍し、社会に貢献してくれることを、私たちは、切に願っています。
皆さんが卒業した後も、私たち教員は、「飾工で学んだことが役に立ちました。」と、卒業生に言わせるような教育活動を展開していきたいと考えています。近い将来、社会で実績をあげた皆さんが、母校に来て、活躍ぶりを自慢してくれることを期待しています。
 最後になりましたが、御来賓の皆様には、御多用にも関わりませず、御臨席賜りましたことに、心よりお礼を申し上げます。 本年度の卒業生の皆さんの今後の活躍と、御家族の皆様の御多幸をお祈りして、式辞といたします。


平成22年2月25日  兵庫県立飾磨工業高等学校長   田中 哲也

2010年1月4日月曜日

h22.1.4 あけましておめでとうございます

 あけましておめでとうございます。

 平成22年が始まりました。本年を飾磨工業高校にとって何とか実りある年にしたいと思います。本年も御指導、御協力、御支援をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 この1月の下旬に、全日制と多部制1・2部の2年次が、北海道に修学旅行に行きます。A型インフルエンザの関係で修学旅行の実施には神経を使っています。  
 昨年の11月に、多部制3部3年次生が、6月予定であった修学旅行をやっとのこと実施することができました。全員参加という嬉しい結果でした。
 沖縄の伊江島で、民家に泊まり家業ふれあい就労体験、マリンスポーツ体験、沖縄本島で観光というメニューでしたが、生徒たちはとても楽しんだようです。良い思い出になったことだと思います。
 多部制1・2部は1月22~25日、全日制は26~29日の予定です。インフルエンザへの意識づけは冬季休業に入る前から充分行っています。3部と同様、全員参加で必ず実施するという意気込みでいます。 
 写真の門松は校務員の江村さんの製作です。本校玄関の入り口に置いてあります。すばらしい心遣いです。私たちの気持ちにメリハリができます。感謝。(2009.1.4)