2009年12月28日月曜日

h21.12.28 本年もお世話になり、誠にありがとうございました。

 

写真は、多部制3部の1年次生が、12月18日(金)に、本校周辺の自治会、生涯クラブ、PTA役員の皆さんと行った餅つき大会の様子です。「餅つきは小学生以来」「できあがった餅を丸めていく作業は、思ったよりも難しくて、でもおばちゃんたちが優しく教えてくれて、きれいなお餅ができて、とても楽しかったです」という感想を述べるなど、生徒たちは本当に楽しそうにしていました。その様子は私にとっては予想をはるかに超えていたので驚きでした。実際に餅をつくという伝統的なイベント、あるいは異世代の人たちがこぞって行うイベントに、生徒たちは飢えているのかも知れないと思いました。自治会の方々、生涯クラブの方々、PTA役員の方々には大変お世話になりました。若い子たちに伝統的な餅つきを教えるのだという意気込みで指導をしていただきました。生徒たちも素直に指導に従っていて、ほほえましく思えました。
 生徒たちには次のこともしゃべりました。餅は正月とかのハレの日の食べ物として伝えられているもので、稲作信仰により餅を食べることで神の霊力を体内に迎え、生命力の再生と補強を願ったものだということも覚えておいてくれ。「鏡餅」というものを正月に供えるが、鏡も霊力を供えたものと扱われていたが、その餅を鏡として見立てて作り供えたものである。
 平成21年は、皆さまに大変お世話になりました。お陰様で、全日制、多部制1・2・3部とも、資格取得(技能検定3級を、旋盤、フライス盤、電子機器組立、シーケンス制御作業、内燃機関の5つの分野で合格者を出しました。)、部活動(定時制通信制全国大会に柔道部、陸上部、剣道部が出場しました。柔道部は全国大会2連覇です。のじぎく賞を2年連続で受賞です。柔道部父母会、柔道部OB会有志の主催で、11月28日(土)に2連覇祝賀会を開催してもらいましたが、大変多くの方々出席をしていただきました。ありがとうございました。その元気と勢いをもらい、全日制柔道部も近畿大会へ進みました。)、地域貢献事業等、活発に教育活動を展開することができたのではないかと振り返っています。全日制、多部制が刺激し合って成果を上げているのが、飾磨工高の現在の姿です。
 就職につきましては全日制は就職希望者100%内定しました。多部制は後10名程度の未定者がいます。100%内定決定まで現在も鋭意頑張っています。
 来年もどうぞよろしくお願いいたします。(2009.12.28)


2009年10月9日金曜日

h21.10.9 飾磨の祭りです(恵美酒宮天満神社)




















 飾磨工業高校の校舎のすぐ南に、屋台の倉庫があります。
 祭りが近づくと、夕方から太鼓の練習が始まり、多部制3部の授業が始まる頃には、トントン テンテン、太鼓の練習が始まり、祭りムードが日を追うごとに次第次第に高まります。
 8日、9日がこの地区の祭りです。校舎の南の道路を屋台が練り歩きます。ここ恵美酒宮天満神社神社の祭りは、輿1台、屋台8台、子供神輿1台、台場練り獅子舞という構成です。台場練り獅子舞は、24人の練り子が土台で練るもので、姫路市指定重要無形民俗文化財だということです。
 職員会議の開始前に、「よーいやさー」「よっそい」というかけ声が響き渡り、その声の中に、子どもの声が混じっています。播州の子どもたちはこの祭りで育ちます。人と地域を育てる祭りと言っていいと思います。校舎の窓から見ていると、屋台を引く知った顔が見つかったりします。

 職員会議の司会者が、「会議を始めます。座ってください」と声をかけることになります。町が活気づきます。人々の気持ちに張りができます。町にも人々の心にも「ハレ」の空間が広がります。「よーいやさー」とは、祭りのために異界から我々の住む人間界にお出ましになったカミが、「食い物(供え物?)をよこせー」と言っているのだ。「よっそい」とは「そーら食べろ」と応答しているのだと、地域の人から聞いたことがあります。本当かどうかは分かりませんが。
 由来を知っていらっしゃる方は教えてください。
 さて、いくつか写真を貼り付けます。ご覧ください。(2009.10.9)







































2009年9月30日水曜日

h21.9.19 西播磨但馬地区高等学校定時制通信制生徒生活体験発表大会で山田さんが優秀賞











 9月19日(土)13時から、姫路市文化センター小ホールにて、平成21年度第59回西播磨但馬地区高等学校定時制通信制生徒生活体験発表大会が開かれました。
 飾磨工業高校からは山田さんと多田君が出場しました。その結果、山田さんが優秀賞を獲得し、10月17日(土)13時から姫路市民会館で開催される兵庫県大会に進むことになりました。
 山田さんの話は次のような内容です。「高校中退の派遣社員であった時、批判的な目で見られた。仕事場を変えた。その職場では信頼される存在になった。上司からこんなに仕事ができる人がどうして高校を中退したのか、といわれたことがきっかけになって、飾磨工高へ入学するきっかけになった。18歳からの高校再入学である。私は高校卒業の大切さを、すべての高校生に伝えたい。」
 多田君の話は次のような内容です。「中学校時代、野球を頑張ってレギュラーを掴んだが、けがにより退部を余儀なくされた。野球ができなくなり目標がなくなり生活が荒れた。野球のライバルだった友人から、学校行事の係をやろうと誘われてようやく生活を取り戻すことができた。そして飾磨工高へ入学することもできた。その友人にはとても感謝している。今頑張ることが世話になった人への恩返しだと思う。」
 この2名は3部校内大会、1・2部校内大会でそれそれ約10名の出場者の中から選ばれてこの日に出場した。
 地区大会、校内大会の出場者の話を聞くと、彼らは彼らの年齢にしてはかなり重たいものを背負っている。それぞれ自分の生活体験を現時点で整理できることをしゃべってくれた。校内大会でも、地区大会でも、同じように感動する。
 これらの大会をきっかけにして、彼らは自分のことを整理して、明確な自己認識を持つことができたと思う。そのことが何よりも重要なことだと思う。
 明確な自己認識があってこそ、他者を認識でき、他者を尊重することができるから。(2009.9.30)








2009年8月6日木曜日

h21.7.22  オープンハイスクール開催

             

               
               
             

                                      

 飾磨工業高等学校全日制と多部制合同の中学生向けオープンハイスクールを7月22日に開催しました。

 姫路市内、市外合わせて46校の中学校から、306名の中学生から申し込みがありました。そして引率・付き添い者が約110名の人数でした。

 参加者へアンケートをしました。その結果は以下のようです。

 (1) 姫路市内の中学生が93%、市外が7%でした。
 (2) 「どのような高校に進学したいですか」という質問に、「工業科」と答えた参加者は82%でした。 
 (3) 飾磨工高のオープンハイスクールに、「どのような気持ちで参加ししたか」という質問には、「飾磨工業高校に進学するため」が57%、「工業高校の内容を知るため」が40%でした。
 (4) 「飾磨工高のオープンハイスクールに「参加してよかった」「まあまあよかった」が99%でした。 
 (5) 「当日の体験を通して、工業高校に進学したいと思いましたか」という質問に、 91%の中学生が「思った」と答えてくれました。

 参加者は、前年より増えており、現状の不況下で、求人の多い工業高校への進学を考えている生徒、保護者が増えていることが伺われます。

 本校は、その期待に応えられると思いますし、さらに充実させていきたいと考えています。

2009年7月17日金曜日

h21..17 「ややかほご」と「あやとり」を合い言葉に

「ややかほご」と「あやとり」を合い言葉に

<飾磨工高 PTA会報でのあいさつ文>

ニート62万人(2006年厚労省)、若年フリーター417万人(2001年内閣府)、187万人(厚労省2007年)、引きこもり300万人以上、若年ネットカフェ難民5400人となっています。ニート、フリーター等、職業的自立ができない20代、30代のうち、57%が学校不適応者、55%がいじめ経験者(2007年厚労省)だそうです。若年就労不安定者の意識を見ると、人と話すのが苦手60%、計算が苦手43%、字を書くのが苦手36%、人の話を聞くのが苦手35%という調査結果もあります。
 最近、孤立傾向のある人による凶悪犯罪が起きていますが、若い男性の孤立した生活を送っている単独犯というのが共通点です。彼らは高等教育を受けるようになるまでに挫折した経験の持ち主が多く、そのために不本意な就職をしたり定職に就けなかった者が多い。犯罪心理学者の作田明氏は次のように分析しています。
彼らは幼少期に両親から甘やかされて育った結果、脆弱な性格で、小さなストレスでも克服が難しく挫折しやすい。そのために、他者とのコミュニケーションを避けようとするが、同時に焦燥感が強まる。しだいに惨めな自分の状況を他人のせいだと考えるようになり、自分以外の人間への攻撃に発展する。やがて自殺する代わりに他人を殺害する間接自殺を実行する。そういう事例が多くなっている。その背景には、核家族化が進み家庭が孤立化し教育力が低下する。また親族や地域社会のサポート力も弱くなり、事態をさらに深刻化する。現代の学校や家庭の状況がひ弱で対人能力が欠如した若者を増やしている。教育力の乏しい家庭で甘やかされて育った子どもは、必要な躾も受けずに、いきなり社会に投げ出されて大きなストレスを受ける。現在の日本は一度失敗すると再チャレンジする機会が少ないので、復活することが難しい。
企業が体育部所属の生徒を欲しがるのは、ひ弱で対人能力の欠如した若者では役に立たないからでしょう。なぜ、活動意欲が低く、志を持たないのか。なぜ、人間関係が築けないのか。なぜ、自己肯定感を持てないのか。なぜ、精神的、社会的自立が遅れるのか。なぜ、将来に希望を持って進路を選ぼうとしないのか。なぜ、勤労観、職業観が育たないのか。なぜ、考えるために必要な基礎的な知識を量的にも、質的にも身につけようとしないのか。その理由は、第一に、「私」の論理を重視しすぎて、「公」の論理を考えない教育思想で教育がなされている。第二に、子どもの自主性を重んじるあまり、やっておかなければならないことをやらせていない。第三に、幼児の頃から集団で遊び、幼児同士で喧嘩をし、幼児同士でルールづくりをしながら仲良く遊ぶ体験が乏しい。三つ目に、従って対人能力が乏しく、集団の中でやっていくには、自分に自信が持てず、行動できない状況に悶々としている。
 そこで本校は、本年度の重点目標に、「生徒の自尊心を育て、活動意欲を高め、自主性と社会性が身につく学校をつくる」を掲げて教育活動に取り組んでいます。
教師間では「ややかほご」(注1)を合い言葉に、生徒とは「あやとり」(注2)を合い言葉にやっていきます。保護者の皆様、生徒たちが社会で自立して生きていくことができるようになるために、ご家庭と連携をとりながら育てて行きたいと考えています。本校の教育活動に御理解と御協力をお願いします。

(注1)「ってみせているか、らせてみせているか、んがえさせているか、めてやっているか、うかくさせるまで工夫し続けているか」

(注2)「いさつしよう自分から、り遂げよう最後まで、とのえよう身だしなみ、ん人の気持ちを大切に」

2009年6月26日金曜日

h21.6.21 全日制機械工学科3年赤尾君、県大会優勝、ものづくりコンテスト旋盤の部兵庫県大会


 6月20日(日)に、姫路高等技術専門学院で、第9回高校生ものづくりコンテスト(旋盤作業の部)兵庫県大会が行われました。
 県下11校から校内選考で選ばれた11名の代表出場者が、2時間の写真に示す課題の製作を、寸法精度、仕上がり、完成度、安全作業、作業時間を競い合いました。
 本校からは、機械工学科3年次赤尾優二君が出場しました。校内選考では、他に牛尾圭佑君、塩谷侑君が最終選考まで残りました。赤尾君は新型インフルエンザの臨時休校の1週間以外毎日練習をして、15本の作品を作りました。臨時休校がなければもっと製作練習をしていたことになります。練習では制限時間の2時間を切ることは1度しかなかったようですが、本番では、実に落ち着いていて、一工程ずつ丁寧に自信のあふれた作業態度を貫き、15分程度早く終了し、作品を提出しました。そして結果は優勝です。得点は満点で、非の打ち所のない優勝でした。本年度の飾磨工高は技能技術の習得に力を入れようとしています。実に幸先のいいすばらしい結果を残してくれました。赤尾君は8月の近畿大会に出場します。何とか全国大会へ行ってほしいと思います。(2009.6.21)


 

2009年6月22日月曜日

h21.6.22  読書という「体験」

 図書だより(6月)が発行されました。
 高等学校学習指導要領の改訂のポイントの一つに、「言語活動の充実」があげられています。
 五感ではものを感じることはしますが、考えることはしません。私たちは言葉でものを考えます。その意味でも言語活動は重要です。
 さて、読書は体験になるのかどうか。私は図書だよりに下記のような文を寄せました。稚拙な文で恐縮ですが、お読みいただければ感謝感激です。(2009.6.22)

「本を読むという体験」 
 私たちは、五感を使ってあらゆるものを感じとります。赤ん坊の時の私たちは、五感から得た情報を基に、外の世界を感知し反応します。
 ものの感じ方や性格は、母親の声の抑揚や母親や周りの人々の接し方によって決まるといいます。幼児が言葉を覚え始めるときは、母親等の声という音と実際の物を認知する体験と、その音を発音することで大げさな賞賛を浴びることで、音を覚えるのだと思います。そしてそれを使えば、母親等とコミュニケーションできることを体験するという具合です。そしてそれが言葉だと気づくのは、ずっと後のことです。
 喜怒哀楽の表現の段階にはいると、親の喜怒哀楽によって、喜怒哀楽という感情と親の喜怒哀楽の文化を一緒に受け継ぎます。つまり私たちの感性は、本能的な感覚だけではなくて、親の感情の文化的な基盤を引き継ぐということになります。感性と理性という表現をよく聞くと思いますが、感性は感覚的なことを、理性は論理的なことを司り、お互いに影響し合って、自分の認識の世界をつくり上げます。この二つのバランスをどのようにとるのかが、その人の個性なのだといってもいいのです。
 読書は著者の感性に導かれて、自分の感性を磨きます。また著者の理性に導かれて、自分の理性を磨きます。その体験が私たちの認識の世界を広げてくれるのです。その効果は、私たちが体験で得るものとほとんど変わりません。体験は、いいこと悪いこと、雑多なものすべてを受け入れなければなりませんが、読書は実際の体験よりは整然と整理した形で体験をさせてくれます。
 生徒のみなさん、自分の感性、理性、そして自分の認識の世界を広げてくれる本を読みましょう。

2009年6月1日月曜日

h21.6.1 他人の気持ちを思いやることとデートDV

  デートDVを取り上げた神戸新聞の記事があった。

 4月27日の「現在を語る-兵庫へのメッセージ-交際中の若い男女間の暴力防ぐには」(神谷郁代記者)です。記事は神戸市看護大学助産学専攻科高田昌代教授へのインタビューによって書かれている。



(1) 一般的なDVとはどう違うのか。

 暴力の振るう行為は同じ。被害者が女性が大半なのも同じ。しかし思春期、青年期の異性への興味や関心と、異性への愛情がどういうものか分からないことから生まれる。

(2) 拘束を愛情と誤解する

 相手を自分のものと思いこむ。女性も最初は心配してくれていると思う。やがて居場所を絶えずチェックされる。他の男性との会話も制限される。反論すると怒り暴力行為に及ぶ。男性に罪の意識はない。女性は恐怖や苦痛でで無力化して抵抗しなくなる。

(3) なぜDVが起きるのか

 男、女とはこうあるべきものという社会通念、慣習が悪い方に災いしている。DVは暴力を手段として、弱者を支配することに目的がある。

(4) 最近の傾向や特徴

 携帯電話の普及で相手を拘束しやすくなった。コミュニケーション能力の低下で、相手の気持ちを汲み取れない人が増えた。

(5) DV防止には何が必要か

 発達段階に応じた教育が必要。「幼児期から命の重みや自分らしく生きることの大切さを教え、自尊感情が持てるようになれば、相手を一人の人間として尊重できるはず。それがDV防止につながる。」

 記事の概要は以上です。
 
幼児期に自分の思い通りにならないということを知る時があります。相手のおもちゃがほしい。ほしいの一念で相手のことお構いなしで取り合いをする。親からそれはいけないことだと諫められて、その認識を自分のものにするのにかなり時間がかかって苦労する。それで自分のものと他人のものの区別ができる。この認識をしっかり身につけていないとDV防止は難しい。DV事件が増加しているということは、その認識を持った若者が育っていないということである。親をはじめとする大人が、子どもたちに社会性を身につけさせる躾あるいは指導をきっちりしなければ、この現状は改善できない。(2009.6.1)


2009年5月29日金曜日

h21.5.29 自尊心を育てることが、自主性と社会性を生む


 本年度の飾磨工業高等学校 全日制と多部制共通の、本年度の重点目標を次のようにしました。
「生徒の自尊心を育て、活動意欲を高め、自主性と社会性が身につく学校をつくる」

 自信をつけさせて、自尊心が育てば、活動意欲がます。すると自主的になります。自主的になって行動委すれば、周りの協力が必要となります。社会性がなければ協力は得られません。
 従って、現在を生きる私たちの、本校の生徒たちへのキーワードは、「自尊心」、「自尊感情」、「セルフ・エスティーム」だと、考えています。

 具体的に、次のように教育活動を展開しようと考えています。

 私たち教員の間での合い言葉を 「ややかほご」 にしました。生徒への指導と支援を、このようにチェックします。

  ってみせているか
  らせてみているか
  んがえさせているか
  めてやっているか
  うかくさせるまで工夫をし続けているか

 生徒たちの合い言葉を 「あやとり」 にしました。
 機会あるごとに、生徒に呼びかけて、自己チェックをしてもらおうと考えています。

  いさつしよう 自分から
  りとげよう 失敗しても最後まで
  とのえよう 身だしなみ(乱しなみにするな)
 んじんの 気持ちを大切に
                                 (2009.5.29)
写真  事務室 受付の花







2009年5月28日木曜日

h21.5.28 「自信」ということについて


 神戸新聞に、「ずっと家族がほしかった」という特集記事があります。児童相談所編が、坂口絋実記者によって書かれています。
 児童相談所の職員の仕事の重要さと過酷さ、そして家庭というものの惨状が、実によくわかる興味深い特集で、毎回楽しみにしています。
 5月28日(木)の特集は、「学習-生きる自信をつけるため 小さなことでもマル」と題したものです。
 この記事の要旨のまとめが、「自信」というものについて述べることになります。以下、読んでみてください。
 児童相談所に、一時保護所があるそうです。ここでは、保護され外出を禁じられている子どもたちに対して、午前と午後合わせて3時間の学習時間を設けています。学習指導員、児童相談員、保育士が勉強を教えています。
 今春保護された中学校1年生の男子のことが書いてあります。記者に算数を教えてくれといってきたことをきっかけにして、記事が書かれています。
 この子が幼い頃に両親が離婚しました。精神的に不安定な母から虐待を受けたことがあります。寝込むことの多かった母と、仕事で帰りの遅い継父と暮らすようになっていました。小学校2年生の時に妹が生まれて、妹の世話を見るうちに、学校に通えない日が増え、勉強についていけなりました。彼は自分に自信を持てず、何をしても長続きしない。「どうせ無理」が口癖になっていました。
 児童相談所の学習の時間では、彼は中学1年生なのに、小学校クラスで、三桁の引き算問題をやっていました。教えてやり、正解した答えに丸をつけてやると、笑顔とVサインを返してくるかわいいところのある子です。
 この子は1ヶ月で九九を習得しました。この頃、児童相談所は、この子を児童養護施設へ入所させることを決めていました。一時保護所を出る前日、学習指導員は九九を書いた単語帳を彼に贈りました。彼は「これ施設に持っていってええ?」と言いました。とても気に入ったようです。記者は、この単語帳が彼のこれからの人生の支えになるだろうと書いています。
 記事は最後に、児童相談所の職員の思いは次のようなことだと締めくくっています。

 「ここではどんな小さなことでもマルをあげるんです。生きる自信をつけるために」 
(2009.5.28)
写真  校長室の花      

2009年5月21日木曜日

h21.5.21 平成21年度入学式式辞(H21.4.8)


兵庫県立飾磨工業高等学校 平成21年度入学式 式辞


 咲き誇った桜に心も浮き立ち、木々の芽が、日を追うごとに、芽吹く緑に心を和ませている、今日の良き日に、本校同窓会長吉川賢三様、全日制PTA会長東成吉様、多部制PTA会長田口喜英様をはじめとするご来賓と、入学生の保護者の皆様の御臨席のもと、飾磨工業高等学校平成21年度入学式を挙行できますことは、私たち教職員と在校生にとりまして、大変大きな喜びです。
 先ほど入学を許可しました全日制200名、多部制194名の新入生の皆さん、入学おめでとう。皆さんの入学を心から歓迎します。また、保護者の皆様には、手塩にかけて育ててこられたお子様の、本校への入学を、心からお祝い申し上げます。
 入学生の皆さんは、9年間の義務教育を終えて、飾磨工業高等学校で学ぶことを選んで入学してくれました。小学校、中学校での義務教育は、6歳から15歳までを対象とし、その年限をすぎれば自動的に卒業ということになりますが、高等学校は義務教育の対象から外れるため、進級も卒業も、自分の努力次第ということになります。これからは、自分で計画的に成果をあげていくことが求められます。
 皆さんは、現在の日本の社会では、就職をしないあるいは就職ができない若者が増えているということを聞いたことがあると思います。その人たちに、何に苦手意識があるのかという調査の結果を聞いたことがあります。人と話すのが苦手という人が60%、計算が苦手という人が43%、字を書くのが苦手という人が36%、人の話を聞くのが苦手という人が35%、というのです。どうでしょう。人ごとではないのではないですか。
 本校の卒業生の進路は、就職が約7割ですから、本校が最後の学校となる卒業生が多いのです。本校の学校生活において皆さんが実行することは苦手意識を克服することと、自分の得意分野を伸ばすことです。皆さんは、何をしなければならないか。例をあげてみましょう。
 人と交流をする機会を意識して作ってほしい。学校行事ではクラスメイトとともに積極的に取り組んでほしい。部活動にはぜひ取り組み部員との友情を深めてほしい。顧問の先生や先輩との人間関係を学んでほしい。話をしている人の顔をしっかり見て、しっかり聞いてほしい。自分からあいさつができる人になってほしい。正しい言葉遣いができるようになってほしい。授業を大切にして一般教養の習得、資格取得、検定合格のためにしっかりした学習をしてほしい。ものづくりコンテストには積極的に挑戦してほしい。
 どうでしょうか。これらの基本的なことを確実にできるようになることが社会に出るためには大切だということを覚えておいてほしいのです。本校の教育方針は、このような基礎的な能力を、鍛え上げることを重視しています。
 「継続は力なり」といいます。努力を継続することによって、目標が達成できるのです。しかし、たとえ目標を達成することができなかったとしても、「ひたむきにそして誠実に人生を生きる態度」が身に付くのです。これは私たちにとって最大の宝なのです。
保護者の皆様、本日から、大切なお子様をお預かりいたします。現在100年に一度という世界的な不況にあります。その中で私たちがやらなければならないことは、日本人が世界に誇ることのできる、品質の高い精密なものづくりを可能にする技術力と人間性を、もう一度磨き直すことだと考えます。ものづくりを通した人づくりが求められているのです。
 従って、時として、厳しく指導することがあるかと思いますが、お子様がこれからの時代に生き抜いていくために、ご理解とご協力をお願い申し上げます。学校と家庭が、お互いに連携をし、お子様の成長のために大切な時を共有したいと申し上げ、入学式の式辞といたします。
      平成21年4月8日
             兵庫県立飾磨工業高等学校長  田中 哲也
  
写真 正門入ったところにある兵庫県立飾磨商業学校の記念碑

h21.5.21 「鹿間津を通ふ雄鹿の夢~飾磨工高校長室便り~」を開設しました

「昔、印南野に住む鹿が和歌などで「夢野の鹿」と詠まれていた。その夢野で仁徳天皇が狩りをされた時、雌雄の鹿が逃げのび、二ケ所に別れて住みつき、雄鹿が住みついた所を男鹿島、雌鹿が住みついて所を妻鹿といい、海中の州を行き来したという。飾磨はこの男鹿島と妻鹿の間にあたることから「鹿間津(しかまつ)」といわれるようになった。」(「播磨鑑」より)

「鹿間津を通ふ雄鹿の夢は遙かに」
県立飾磨商業学校と県立飾磨工業高等学校の創立70周年記念誌から)


 私は、鹿間津に通う雄鹿としての夢を、このページ「鹿間津を通ふ雄鹿の夢~飾磨工高校長室便り~」で語っていきたいと思います。

 飾磨工業高等学校長として着任しました、田中と申します。
 私は、1年3ヶ月前まで、平成18年4月1日から平成19年12月31日までの間、飾磨工高全日制の教頭をしていました。
 その後の1年3ヶ月は、平成21年1月から3月末日まで龍野北高等学校の教頭として、新しい学校の最終的な開校準備を、平成20年度は、県立龍野実業高等学校長として、県立龍野北高等学校に統合する仕事と、たつの市龍野町北龍野の龍野実業高校旧校舎を閉舎する仕事をやりました。
 実は、平成15年度に多部制の設置の年度に、3部の教諭としても仕事をしていました。
 このように多部制、全日制ともに勤務の経験のある私が、また御縁があって飾磨工業高等学校で仕事をさせていただくことになりました。
 微力ながら精一杯務めますので、何とぞよろしくお願いします。(2009.5.21)

 写真は、本校正門入った所にある昭和60年設置の同窓会モニュメント「雄飛」です。